海外での病気やケガでも
しかも、家族で公的保険に加入していれば、「世帯合算」で医療費を合算することが可能です。
たとえば、75歳以上の夫婦で夫が月49万円の治療をして1割の4万9000円を負担し、妻が12万円の治療をして1万2000円の負担をした場合、足すと6万1000円。世帯合算で高額療養費制度を使うと、一般的な所得の方なら自己負担は5万7600円なので、3400円が戻ってきます。
実は、あまり知られていないのですが、海外での病気やケガの治療で、高額療養費制度が使えることも。海外では日本の保険は使えないのでいったん全額自己負担しなくてはなりませんが、帰国後に書類を揃えて協会けんぽに提出すれば、高額療養費制度が使えるのです。
ただ、海外では盲腸の手術で何百万円もかかる国があり、立て替えるお金が大きいので、あらかじめ海外旅行保険などに加入する人が多いようです。
病気だけでなく介護にも、自己負担が安くなる「高額介護サービス費」の制度があります。さらに、医療保険と介護保険の自己負担限度額を超えた場合に使える「高額介護合算療養費制度」もあるので、覚えておくといいでしょう。
政府は参議院選挙を見据え、今回は自己負担上限額の引き上げを見送りましたが、将来的には引き上げの意向。特に長期の治療が必要な人にとっては命綱となる制度なだけに、行方をしっかり見守っていきましょう。