娘の問題、親が出る幕ではない
では、幸せぐせBの「関与しない」とは、どの程度のことを言うのでしょうか。これは離婚するしないのアドバイスはもちろん、本来ならば実家に帰ってくることも許さないほうがいいということです。例えば娘から「離婚したいから味方になって」とか「彼とは話したくないから、お母さんからそう伝えて」と言われても、「あなたの問題でしょ。自分で対処しなさい」と伝えるべき。顔も見たくないというなら、弁護士を通すなど方法はあります。冷たいように感じるかもしれませんが、親が出る幕ではないのです。
とはいえ、住まいを探すのも難しい状況で実家に戻るなというのは、あまりに冷たいですよね。その場合は、一時的な帰省という位置づけで「しばらく帰ってきてもいい」とすべきです。そもそも娘にシングルマザーとして生きていく覚悟があるのなら、実家に戻るにしても「ちょっとの間、いさせてください」と頭を下げてお願いし、家賃や食費などの生活費を入れることを申し出るでしょう。そのけじめがないなら問題です。
それにこの娘のほかにきょうだいがいたら、この状況をどう感じるでしょうか。「あの子だけ特別扱いされている」「気軽に実家に帰りにくくなる」などと感じるかもしれませんし、「万一、親が亡くなったら遺産を全部取られるのではないか」と疑心暗鬼になる人が出てきても不思議ではありません。予期せぬ揉め事が増えていくのは想像に難くないのです。
私はこれまでたくさんの相談を受けてきましたが、誤解を恐れずに言えば、多くの人は自らの身に起きる不幸や心配事を意外にも楽しんでいるように思います。「大変なことが起きてしまいました」と言いながら、どこかイベント事のように感じているふしがあるのです。娘の夫が何度も実家に来て謝り、話し合う様子を見ながらいそいそとお茶を出したりするのは、単調な日常に起きた非日常のイベント。もし、この親が「食べていくのがギリギリ」の経済状況ならば、娘とはいえ人の心配などしていられないはずです。「お母さんも大変だから自分でなんとかしてちょうだい。長くいるなら、生活費は払ってね」で終わりでしょう。