イラスト:カワムラナツミ
女性のひとり住まいで心配なのは、家への侵入や詐欺といった犯罪。危険を避けるための心がけを防犯アナリストの桜井礼子さんに聞きました(構成=山田真理 イラスト=カワムラナツミ)

おひとりさまは格好の標的に

防犯アナリストとして各地の講演会に呼ばれるなかで、最近気になっているのが、中高年でもニュースを見ない人が増えていること。しかし、防犯対策として大切なのは「〇〇駅の近くでひったくりが起きた」といった地域のニュース、あるいは次々に考え出される詐欺などの手口を知って、「自分だったらどう対策を立てるか」を真剣に考えることです。

また、これまでの習慣や常識から「この程度なら大丈夫」と高をくくっていると、思わぬ被害に遭う危険もあります。顔見知りの多い地域だからと安心して戸締まりを怠ったり、「こんなオバサンが狙われるわけがない」と性犯罪に無防備でいたり。それも、「危険がある」という情報に日頃から敏感でいれば、被害を未然に防ぐことができるのです。

 

【1】すぐできる生活の見直し

犯罪者からすると(実際は違っていても)、中高年のシングル女性は「長年働いてきて貯金がありそう」「夫の財産を受け継いでいるはず」ということで、格好のターゲットと見られています。空き巣や侵入犯罪から身を守るために、すぐにできるのが日常を見直すこと。ポイントは2つあります。

まずは「女性のひとり暮らしと悟られないようにする」意識です。侵入犯は目星をつけた家の洗濯物を見て、その家の家族構成を探ります。できれば乾燥機などを使い、洗濯物は外に干さない。あるいは男性物の衣類を一緒に干すなどの工夫をしましょう。玄関先に男性用の靴や傘を置くのもおすすめです。

帰宅時にはインターホンを押してから入ったり、「ただいま」と声をかけて、家に他の人がいる印象を与えるのも効果があります。

玄関やポストの表札は、シンプルに名字だけにして不要な情報は出さない。玄関先のデコレーション、女性らしい色柄のカーテン、自動車の可愛らしい内装も「女性のひとり暮らし」と見抜かれる危険があります。外から見える部分はユニセックスな雰囲気にまとめたほうが無難です。

もう1つが、「留守だと悟られない工夫をする」こと。出勤・帰宅の時間がわからないように、外から見える部屋の照明をつけておく。点灯時間がタイマーなどで設定できる照明器具ならば、外が暗くなる頃にセットすることもできます。

また、一戸建ての場合駐車場から車を出したら、真ん中に自然な形で自転車を置くなど、「空=留守」だと思われないようにするといいでしょう。