2019年10月、宝塚歌劇団を退団した元星組男役トップスターの紅(くれない)ゆずる。満を持して挑んだ初コンサート『紅-ing』が2020年2月13日、東京の国際フォーラムにて開催された(大阪公演は2月6日~9日、東京公演は2月13日~15日)。その模様をレポートする。(撮影=岸隆子(Studio Elenish) 文=婦人公論編集部)
劇団きってのコメディエンヌとして
壱城あずさ、如月蓮、宇月颯、梅咲衣舞、十碧れいや、華鳥礼良、ゲストには美弥るりか等、親交の深い強力なキャストを迎え、退団後の新たなステージに踏み出した。演出は宝塚在団中から紅の出演作品を多く手掛けてきた藤井大介だ。
在団中は「お客様ファースト」を貫き、劇団きってのコメディエンヌとして、客席を盛り上げてきた紅ゆずる。ファースト・コンサートも最初から最後まで客席を楽しませる趣向にあふれていた。
開演前には、在団時に紅が作り上げた人気キャラクター「劇場案内係の星小路紅子(ほしのこうじ・べにこ)」の声で「みなさん~紅子よ~携帯電話は電源をお切りください~」と場内アナウンス。コミカルな演出で会場を沸かす。
18時、いよいよコンサートがスタート! 紅は舞台中央の階段から赤のタキシード姿で登場。ほかのメンバーと共に客席に降り立ち、会場内を歌い歩く。
「今までの紅ゆずるから、新しい紅ゆずるまでをたくさん詰め込んだコンサート。〈受け身禁止〉で思いっきり楽しんでください!」と紅。「受け身禁止」の言葉通り、コンサート中も客席との掛け合いを楽しみつつ、観客との一体感を高めていった。
「まずはこの曲!」と宝塚時代の映像をバックに《Killer Rouge》を熱唱。そしてほかのキャストに場を譲って、舞台袖へ。主役が姿を消したことで、紅が退団した寂しさが蘇ってきた観客に、《さよなら皆様》のコーラスでたたみかける。《さよなら皆様》は、宝塚で公演が終わった際に流れる曲だ。