見違えるように表情が生き生きと
私が、心の執着を捨てるヨガの行法から「断捨離」の着想を得たのは、夫の故郷の石川県で主婦をしていた40代の頃。戦後どんどん豊かになった日本の住まいには、とにかくモノが増えすぎていた。
散らかるモノを、美しく整理整頓したい気持ちはわかります。でもそのために収納ケースや棚板を買い足して、モノを増やすのは本末転倒。完璧に収納しても、使っていくうちにすぐに崩れて元の木阿弥になってしまう。
その繰り返しを止めるには、モノに対する考え方を根本から変える必要があるのではないか――。そんなことを考えてたどりついたのが、不用意に入り込むモノを「断ち」、不要なモノは「捨て」、執着を「手離す」という断捨離だったのです。
もともとは家の片づけに悩む主婦向けに講座を開いていましたが、思いのほか心の問題もからんでいると気づきました。当時、主婦が置かれていた状況は、家事をしてもほめられも感謝されもしない評価ゼロの世界。経済的に収入が得られないことで自信喪失に陥っている人も。
日々行っている、汚れたら洗う、散らかったら整える、増えすぎたら減らす、丁寧に手入れをして一定の状態に保つのはものすごく大事なことなのです。その手入れがあるとないとでは暮らしの快適さはまったく違う。
「それを担っているのが主婦の皆さんです。素晴らしいことなんですよ」とお伝えすると、すごく喜んでくださいました。