そして、「かつては意味があったモノでも、今の自分に必要がなければ手離す」という断捨離の視点に、刺激を受けたという人が大勢いらした。「帰宅して片づけてみたら、いらないモノがこんなに見つかりました」と報告をしてくれる方も。
なかでも印象的だったのは、「モノ選びに関して、自分という存在がなかった」と気づき愕然としたという方です。食器棚のなかにはお姑さんの代から引き継いだモノ、引き出物や景品、安いから買ったモノが満載で、「私が好きで選んだ食器が1つもなかったんです! 片づかないと悩んでいた自分はいったい何だったのか」と……。
自分を主人公にすると、片づけはどんどん加速していきます。誰かに「やらされている」のではなく、「やりがいがある」から楽しんで取り組める。余計なモノが減ればスッキリして、自分の家が好きになる。結果、その人の表情が見違えるように生き生きと変わっていくのです。
長年しみついたモノとのつきあい方を変えるのは、とても難しいですよね。読者の皆さんのなかには、「使えるのに、捨てるのはもったいない」という考え方をお持ちの方もいらっしゃるでしょう。ただ、「もったいない」というのは、「モノ軸」の考え方であって、「自分軸」ではありません。
この「もったいない」には2つのタイプがあって、1つは「使えるモノを捨てるなんてもったいない」という正義の価値観と、もう1つは「もったいなくて使えない」という気持ち。
後者は、「これを使う価値が自分にはない」と言っているのと一緒で、自己肯定感が低い状態。その場合、私は「これ、あなたのお気に入り? だったら今使わなくてどうするの? 自分をもてなしましょう!」と「自分軸」のほうへ促します。
棚の奥深くに仕舞い込んだ大事な食器を出して、自分をもてなし、自己肯定感を上げる――。これも断捨離なのです。