結局、2畳ほどの貸倉庫を3つ借りて、「残すモノ」をさらに「手元に置くモノ」と「倉庫に入れるモノ」に分類していくことに。処分してしまったら二度と返ってきませんから、慎重にしたかったのです。
重荷を下ろして軽やかに生きていくことが生前整理の目的なのに、「やっぱり取っておけばよかった」と心を曇らせることになっては本末転倒。いったん保留して、後日、改めて検討する2段構えにしたことで、心に優しい断捨離ができたと思っています。
もちろん、両親に「これは諦めて」と伝えねばならない場面もありました。喧嘩を避けるため、頭ごなしに言わないよう気をつけて。「これ使うかな?」と投げかけることで考える時間を作り、「本当に必要なモノだけに絞ろうよ」と改めて提案すると、大抵は納得してくれました。
懐かしいモノにまつわる母の思い出話が楽しくて、聞いているうちに、私が「じゃあこれは残そうよ」と意見を変えることも。両親が元気なうちに踏み切ってよかったと思います。たくさんお喋りしながら片づけた時間は、素晴らしい思い出となりました。
母がどうしてもと「残すモノ」の付箋を貼ったのは、北欧で集めた貴重な食器です。昨年、上野松坂屋で北欧展が開催された際に、母のコレクションが「特集企画」という形で陽の目を見ることになりました。モノたちも喜んでいたのではないでしょうか。