いつか片づけなくてはと思いながら、10年以上物置と化していたという川上麻衣子さんの実家。とある〈事件〉をきっかけに、高齢の両親を説得し、重い腰を上げて整理することにしました。1ヵ月で大量のモノを仕分けして感じたこととは(撮影:大河内禎 構成:丸山あかね)
頭ごなしに言わないように
方針として、全体の2割を残し、8割を処分する、と決めました。まずは、「残す」「売る」「友人などに引き取ってもらう」「迷っている」と4つに仕分けするところからスタート。それぞれに4色の付箋を、ペタペタと貼っていきました。
父は「任せる」と言っていたのに、「やっぱり、レコードプレーヤーとステレオを処分するのは忍びない」などと言い出して、ちょっと大変でした。
母は、自分のモノは自分で選別したいと言ってくれたのですが、それじゃ生前整理の意味がないよというくらい、「残すモノ」が多い(笑)。でも、モノとの久しぶりの再会に目を輝かせていて、無理やり処分を強いることはできないと感じました。
実は私自身、「ああ懐かしい」とグッとくることの連続で。最初は写真に撮って捨ててしまおうと考えていたのですが、手触りや重みが心の琴線にふれ、泣きそうになることも。「実家じまい」の大変さは、労力もさることながら、思い出と決別する切なさにあると痛感しました。