使わないまま放置したモノは、ある意味で死んでいるのと同じ。死んだモノの詰まった空間は、片づけや掃除が行き届かず、だんだんと傷んできます。「このカーテンいつ換えたの?」というように、古いモノも堆積していく。

肌や髪の手入れをしないと老けた印象になりますよね。同様に、手入れを怠れば「家は老ける」のです。居住空間は、想像以上に住む人の心や体に影響を与えていて、老けた家に住み続ければ、あなた自身も老けてしまう。

よく「散らかった家にいるのが嫌だから、外へ出かけて元気をチャージする」という人がいますが、長い時間を過ごす家が元気を損なっていたら、外でチャージしても意味がないといわざるをえません。

また実際に、住まいが原因で健康を害する人は高齢になるほど増えていきます。ハウスダストアレルギーで病院に通って薬を飲みながら、その原因である家具の裏に溜まったホコリや壁に生えたカビ、ダニやゴキブリの温床に目が行き届かないケースも。

床置きしたたくさんのモノで行動が阻害されたり、つまずいて転んだり、あるいは、積み上げたモノたちによる閉塞感で体も心も萎えていったりというリスクもあります。

住まいの空間を健康に若返らせることができれば、自分はもちろん、家族も生き生きと元気になれる。断捨離とは、《よみがえりの秘訣》といえるのです。

私は、断捨離は新陳代謝、つまり呼吸と同じだとお話しします。漫然と息を吸うよりも、まず肺からしっかり息を吐き出してこそ、新鮮な気で自然に体が満たされていくように、いらないモノを家から出すことで、その時の自分に必要なモノが身の回りに集まってくるのです。それは履き心地のよい靴かもしれないし、心が浮き立つような着心地のよい服かもしれません。