「発達障害」に悩む人々
映画では医学的な説明をしていないが、ADHD(多動性障害、注意欠陥症)は最近よく話題に上がる「発達障害」の1つである。その症状や当人の性格も多様で捉えがたい。
「障害」とされることを嫌う患者や家族も多く、「障害ではなく甘えだ」と断じられることも多い。
「不注意」以外にも、「自分の興味のある分野には異常なほどの集中力を示す」「運動、特に球技が苦手」「会話、人の気持ちを読むのが苦手」「時間を守れない」「買い物やギャンブル依存になりやすい」「片付けができない」等の特徴があり、「特化した分野での才能が開花すれば、天才的と言えるような業績を残す」ことも報告されている。
「天才型」と言える才能の持ち主を含むのが発達障害なのだが、多くの人々は「生きにくさ」を抱えている。障害手帳を取得でき、就労支援も受けられるが、「障害者枠」になることを嫌い、援助を受け入れない人も多い。実際、日本の就労支援は、発達障害者を受け入れる地盤が整っていない。
そこに切り込み、自身が感じる生きづらさの視点で映画を製作した君塚匠氏の功績は大きい。発達障害に悩む人々や、その家族にとっては大変有意義な作品だ。発達障害者がよくわからない人にも、是非見ていただきたい。