
車で通り過ぎていたら気づけない風景だ…(写真:stock.adobe.com)
時事問題から身のまわりのこと、『婦人公論』本誌記事への感想など、愛読者からのお手紙を紹介する「読者のひろば」。たくさんの記事が掲載される婦人公論のなかでも、人気の高いコーナーの一つです。今回ご紹介するのは宮城県の70代の方からのお便り。夫が自動車免許を返納したため、夫婦でバスに乗って買い物に出かけた帰り道――。
助けてくれたのは
長年、マイカーを運転してきた夫が、80歳になったのを機に免許証を返納した。こうなると、少々重い荷物も人力で運ばなくてはならない。
先日、バスで買い物に出かけた帰り道でのこと。なるべく出かける回数を減らしたい私たちは、たくさんの食材を買い込んだ。夫と手分けして両手に袋を提げ、バス停から自宅に向かって歩みを進める。
しばらくすると、夫婦どちらからともなく「休もうか」と言って、道端の青草の上に荷物を下ろした。
マイカーのありがたさを痛感しながらも、少し高台になっているその場所から見える町の様子は、なんてことはないはずなのに新鮮に感じた。車で通り過ぎていたら気づけない風景だ。不便だけれど、いいこともあるんだなと思い直す。