ならば、今回は彼女の好物にしよう。そう決めて、美味しいと評判の海苔のお店を訪れ、焼き海苔の箱入りセットを注文しました。すると若い女店員さんが、「お熨斗はいかがいたしましょうか」と聞いてきます。

「そうねえ、紅白熨斗紙に、『松の葉』と書いてもらおうかしら」と言うと、「えっ」と不思議そうな顔でポカンとされました。

「松の葉に包むほどのささやかな手土産、という意味で、熨斗紙の表書きに使うそうですよ」と答えると、彼女は「素敵な言葉があるのですね。勉強になりました。ありがとうございます」と、丁寧なお礼。

実は私も、母から教わって知ったのです。それ以来、折にふれて使っていますが、そのたびに説明することが多い。

日本の奥ゆかしい作法として、大切に伝えていけたらいいなと思っています。


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