
「私にとっては宝塚歌劇団を卒業して初めての演劇作品。しかも、以前から何度も観劇していた新感線さんの公演ですから、出演が決まったときは、光栄で嬉しくてたまりませんでした」(撮影:木村直軌)
スラリと伸びた手足を活かし、花組トップスターとして活躍を続けてきた柚香光さん。2024年5月に宝塚歌劇団を退団後、憧れの舞台への出演が決定。今の思いを聞きました(構成:大内弓子 撮影:木村直軌)
小さな発見の毎日で、ワクワクドキドキ
劇団☆新感線『紅鬼(あかおに)物語』の稽古が始まりました。私にとっては宝塚歌劇団を卒業して初めての演劇作品。しかも、以前から何度も観劇していた新感線さんの公演ですから、出演が決まったときは、光栄で嬉しくてたまりませんでした。
初めて観た新感線さんの舞台は、時代活劇《いのうえ歌舞伎シリーズ》のひとつ、『髑髏城(どくろじょう)の七人』(2011年)です。
衝撃だったのはオープニング。ロック音楽が重低音で鳴り響き、眩しいほどの照明が客席を巡る――。あの高揚感は忘れられません。そして幕が開けば、数々の迫力ある殺陣(たて)が繰り広げられ、激しい動きなのに見事なテンポでセリフがやりとりされる。
登場するキャラクターの個性が光り、シリアスなお芝居のなかに笑ってしまう軽快な掛け合いがあるのも魅力で。主宰・演出のいのうえひでのりさんをはじめ、皆さんが作られるその世界に魅了されました。