山本 上手に磨けない人は、どうしたらいいのですか?

石井 電動歯ブラシを活用してもいいでしょう。奥歯の嚙み合わせの溝をきれいにするのも得意。ただし、歯茎に炎症がある場合は注意が必要です。

山本 フロスは、どのタイミングで使うのですか?

石井 歯磨きの最後の仕上げに使いましょう。ブラシで落とせる汚れは5割程度ですが、フロスをプラスすれば9割になります。

山本 朝の歯磨きで重要なことは何ですか? 私は起きたらまずマウスウォッシュで口をゆすぎ、朝食後に歯を磨くのですが。

石井 睡眠中の口内は唾液が減って雑菌が増え、実は大便10gと同じくらいの菌がある状態。だから起きてすぐに簡単な歯磨きをするのがベストです。マウスウォッシュは歯磨きの代わりにはならないと心得てください。

山本 えー! そうなんですね。寝起きの歯磨き、始めます! そうそう、私は毎晩、シルクの口内ブラシで頰の裏側や歯茎のマッサージも続けているんです。

石井 いいですね。口臭の原因にもなる舌苔(ぜったい)の掃除もぜひ。舌は敏感なので、濡らした綿棒で表面をサッとなぞるだけでOKです。

 

表情筋の約7割が口周りに集まっている

山本 口内ケアは、健康はもちろん美容にも役立つと思っています。

石井 その通り。加齢とともに舌の筋力も低下するため、誤嚥のリスクが増え、口呼吸やいびき、アゴのたるみの原因にもなるのです。

山本 だから、舌の筋トレが必要なんですね。

石井 日本語の発音は舌を使うことが少なく、意識しないと緩みやすい。普段から舌の正しいポジション、つまり「上の前歯の裏に舌先がついているか」を意識することが大切です。上アゴの粘膜に触れていると、自然に舌の掃除ができるというメリットも。舌を伸ばしたり、「ら・り・る・れ・ろ」と発音したり、歯茎の外側を舌でなぞるようにぐるりと一周したり。しっかり動かすと唾液も出やすくなり一石二鳥です。