清水 でも、ふたりとも職質はずいぶんされてきたでしょう。
安齋 自転車に乗ってたら必ず呼び止められるね。
みうら だね(笑)。遠くから大きな声で、「どうしましたぁ?」って聞いてくるんだよ。別にどうもしてないのにさ。
清水 すごい。誰も傷つけない言葉で呼びかけるんだ。
安齋 昔、毎日のように会うおまわりさんがいたの。自転車に乗ってると必ず止められて、「昨日も止められたんですけど」「いえ、昨日とはまた別です。自転車が違いますよね」なんて言われる。
みうら え、盗んだの?
安齋 盗まないよ。だって同じ自転車なんだから。そしたら「自転車に名前を書いておいてください」って言われて、翌日また止められた。オレ、ちゃんと名前書いておいたのね。「ほら」って見せたら、今度は「名前を証明するものを」って言うの。そんなもの、自転車乗ってる時に持ってるわけないじゃない。
みうら そこだよね、オレたちが疑われやすいのは。運転免許を持ってないから、己を証明できない。
安齋 しょうがないから、しばらく保険証を持ち歩いてたよ。ミッちゃんは、どうやって自分が清水ミチコだと証明するの?
みうら いやね、そりゃ「この人は清水ミチコだろうな」と思っていても、本当に清水ミチコかどうかはわからないからね。
清水 みうらさん、いま警察の立場で発言したでしょ(笑)。私も免許がないから、パスポートかな。
みうら いつでも飛び立てるように。(笑)
安齋 自分が何者かを証明するもののひとつとして職業があるわけだけど、あれはなんて答えてる?
清水 タレントって言ってる。
みうら え、「元『ビックリハウス』の投稿者」じゃないの?
清水 そんな肩書き、あるか(笑)。おふたりは?
みうら オレは「イラストレーターなど」と言い張ってる。主に「など」のほうだけど。(笑)
安齋 グラフィックデザイナー、アートディレクター、映画監督とかいろいろ。並べりゃ並べるほどあやしくなるんだよ。
みうら あくまで自称だからね。
安齋 ある時、肩書きを聞かれて相手が書いているのをちらっと覗いたら「ソラミミスト」って書いてあった。あれが一番あやしくない肩書きなのかな。(笑)
〈後編につづく〉