一方、自覚症状はないけれど、正常な状態(健口)とも言えない病気予備軍の「オーラルフレイル」。こちらにも注目が集まっています。
みなさんは、以前よりモノが噛みにくい、ムセやすい、食べこぼす、口の中が乾く、滑舌が悪くなったなどといったことはありませんか。実はこれこそ、オーラルフレイルの兆し。ただし、こういった症状は意識しないと気づきにくく、放置されやすいのです。
たとえば、若いころは青信号のうちに難なく渡れていた横断歩道を、時間内に渡り切るのが大変だと感じたら「足腰が弱ったな」と自覚しますよね。けれど食事は、食べ物を柔らかく煮たりとろみをつけたりして硬いものを避ければ不自由を感じにくい。食べやすいものを無意識に選んでいると、さらに咀嚼力や嚥下力が低下し、異物が侵入してもムセずに誤嚥してしまうなど、機能低下が進行することになりかねません。
しかも摂取する栄養が偏り、身体のフレイル(身体的機能や認知機能の低下)につながる可能性があるのです。オーラルフレイルの人は、そうでない人と比べて4年後の死亡率が2倍以上に高まる可能性があるという調査結果もあるほど。
また、食べる力だけでなく「話す力」が低下するのもオーラルフレイルの特徴です。滑舌が悪くなり、「よく聞き返される」「舌が回らず話しにくい」というケースが見られます。話す力が低下すると、人と会うのが億劫になったり、社会と関わるのが面倒になったりすることも。
このようにオーラルフレイルは、全身の健康にかかわるため注意が必要なのです。オーラルフレイルのチェック項目をご紹介しましたので、確認してみましょう。