ケア労働が女性に偏る日本社会
なぜ母親たちはここまで責められ、追い詰められるのか。そして、なぜ父親の存在は希薄なのか。
そこには、日本社会に根強く残る「男は仕事、女は家庭」「母親は家庭の中心で、家族のケアを担うべき」といった性別役割分業の価値観が大きく影響しているように思えてなりません。
1997年以降、日本では共働き世帯が専業主婦世帯を上回り、その後も共働き世帯の増加が続いているにもかかわらず、現在も家事や育児、子育てなどケア労働の負担は依然として女性に集中しています。
総務省が実施した社会生活基本調査によれば、6歳未満の子どもを持つ夫婦の1日あたり家事・育児関連時間は、夫の1時間54分に対して、妻は7時間28分と約4倍にのぼり、顕著な男女差があります*1。
また、内閣府の男女共同参画白書では、家事・育児に費やす時間の国際比較が行われています。男性は1日あたり41分の無償労働時間(家事、育児、介護など、対価を受けずに行う労働時間)に対して、女性は224分と約5.5倍となっており、他の先進国と比較しても日本の男女間の家事・育児時間の差は大きいことが示されています*2。