「一耳惚れ」から始まった道

実は一度サックスには触れたことがありました。
吹けたらカッコいいなーぐらいの興味で行ったヤマハ音楽教室の体験レッスン。
思いの外、音は簡単に出ました。
息を入れるだけで「ブワッ」と音が鳴る感覚。
「歌ったことがある人なら簡単ですよ」
そう言われながらも、そのときは通うまでに至りませんでしたが、もしかしたら吹けるかもしれないという微かな手ごたえだけは覚えていました。

半ば強引に、師匠からサックスを借り、レッスンを始めた私。

「この曲が吹いてみたいんです!」
とお願したのは、ジャズの名曲「Moanin'(モーニン)」。
初心者が最初に選ぶには、やや背伸びした選曲です。

7月にあるランチショーで吹いてみたい。
そんな目標に向かって、忙しい師匠とのお稽古が始まりました。
感覚人間の私にも伝わるように、身体の動きなどを分析しながら説明してくれるので、なるほど!と、すべてが新鮮でした。

練習に練習を重ねて、初めてサックスで吹いた曲「Moanin'(モーニン)」

順調に吹けるようになってきたかと思えば、突然音が出なくなったり、出たと思えば裏返ったり。
音を出すのも、気持ちを立て直すのも難しく、不安に襲われていると、すぐに見抜かれ、
「気持ちで負けるな!」
と何度も励まされ、またこの繰り返し…。
人に伝えるということの基礎や、演奏だけではないいろいろなことを教えていただいた時間でした。