心疾患について考える公開講座「心臓フロンティア~心不全ゼロの未来へ~」
心臓の健康に関心を高める8月10日の「健康ハートの日」を前に、心疾患について考える公開講座「心臓フロンティア~心不全ゼロの未来へ~」(主催:アストラゼネカ株式会社)が7月30日、大阪・関西万博会場の英国パビリオンで開かれました。ゲストに俳優・フィギュアスケーターの本田望結さんが登場。心疾患の治療・研究に携わる循環器の専門医らとともに、心不全の正しい知識や未来の医療の可能性について語り合いました。講座の様子をレポートします。(取材・文:宇都古舞 写真提供:アストラゼネカ)

大事なのは「体の変化に気付くこと」

まず、一般社団法人日本循環器協会代表理事で国際医療福祉大学・東京大学教授の小室一成さんが、心不全という病気について解説。

厚生労働省の2024年人口動態調査によると、がんに次いで日本人の死因の第2位となっているのが心疾患。心疾患の中でも特に「心不全」は死亡者が最も多く、高齢化が進む日本では、さらなる増加が予想されています。

心不全は「心臓が悪いために息切れやむくみが起こり、それがだんだん悪くなって生命を縮める病気」(小室さん)とのこと。患者は約130万人いるとされ、病気後の生存率はがんよりも低いといいます。入院患者数も年々増加しており、小室さんは「まさに心不全パンデミックが起こっている」と警告します。

そんな心不全が疑われる主な症状は「寝ていると息苦しい」「坂道や階段で息切れが起こる」「足のむくみ・体重増加」などの変化が起こったとき。これらの変化は気付きにくいといいます。小室さんは「変化が少しでも表れたら医師に相談してほしい。年のせいで起こっていると思い込まないで」と呼びかけました。

また、「心不全は予防ができる」としたうえで、心不全にいち早く気付くための医療のあり方についても紹介されました。近年研究が進められているのが、AIの活用です。

「AIによる心電図診断など、AIが解析して心不全かどうかが分かる時代になっています。AIに頼り切るのではなく、参考にすればよいのです」と、AIと医療の付き合い方について述べました。

小室一成さん