ヤジは国会の華。だが、総理が飛ばすと大ごとに
文字で見ただけだと「何か言い方を間違えたということかな?」と思う人が多いかもしれないが、国会での「不規則発言」とは、「ヤジを飛ばす」ことだ。
最近も、2月12日に安倍総理が立憲民主党の辻元清美議員の質問に対し、自席から「意味のない質問だよ」とヤジを飛ばしたことが問題となり、5日後に謝罪。さらに3月2日の新型コロナウイルスをめぐる参院予算委員会で、高齢者対策が不十分だと指摘した立憲民主党の蓮舫議員に、自民党の松川るい議員が「高齢者は歩かない」とヤジを飛ばし、議論が紛糾。松川議員は審議終了後に謝罪した。
安倍総理はこれまでもたびたびヤジを飛ばしているが、総理が自席からヤジるなど、過去にほとんど例がない。唯一にしてもっとも有名なのが、吉田茂元総理。自席で「ばかやろう」と呟いたことが引き金になって、衆議院の解散・総選挙が行われたことからも、いかに総理のヤジが問題となるかがわかる。
一方で、昔から「ヤジは国会の華」とも言われている。ユーモアの利いたヤジは、殺伐とした議場内の空気を一気に和らげる効果もあるからだろう。
「名ヤジ」として今も語り継がれているのが、保守合同(自民党結成)の立役者だった三木武吉(ぶきち)の一言。戦前のことだが、「ダルマ」とあだ名されていた高橋是清蔵相(のち総理)が演説で「陸軍10年、海軍8年」と述べた途端、「ダルマは9年」(達磨大師は壁に向かって9年間座禅を組んだ逸話から)とヤジを飛ばし、議場内が爆笑に包まれたという。それに比べると、どうも、最近のヤジはレベルが低いね。