「これだけ地震や火山噴火といった自然災害が多い国に住みながら、20人に1人しか地学を学んでいない」(鎌田さん)

 

鎌田 とても嬉しい感想です。私は4年前に京都大学を定年退官するまで、地球科学を24年間教えてきました。

その後、フリーの研究者という立場で「日本列島は大地変動の時代に突入した」と本や講演会でお伝えしてきたのですが、なかなか一般の皆さんに切迫感が伝わらないことが悩みだったのです。

岸本 多くの人は「80%の確率で地震が起きる」と言われても、「20%は起きないのだから、きっと自分は大丈夫」とか、「生きている間は遭遇しないで済むかも」と楽観視しがちですよね。ところが、それではいけないと?

鎌田 たとえば「2035年からプラス・マイナス5年の間に起きる」と予測されている、南海トラフ巨大地震。最大震度7の揺れが西は宮崎県から東は静岡県までを襲い、巨大な津波も発生した場合、被災者の数は6800万人にのぼると推定されます。これは日本の総人口の半分以上ですから、2人に1人は被害に遭う可能性がある。

岸本 もう一つ、自分の防災意識からすっぽり抜け落ちていたのが、火山噴火の被害です。火山の周囲だけの局地的な被害かと思っていましたが、先生が予測している富士山の噴火が起これば、国家存亡の危機もありうる甚大な被害になるのですね。