政府は今年1月、30年以内に南海トラフ巨大地震が起こる確率を「80%程度」に引き上げました。漠然とした不安が広がるなかで、地球科学者の鎌田浩毅さんは、「2030年代に必ず起きる」と力説します。日本列島に差し迫る危機とは?私たちができる備えとは? エッセイストの岸本葉子さんと考えます。(構成:山田真理 撮影:岸隆子(Elenish))
巨大地震に連動して起きうること
岸本 今日はたくさん勉強したいと思ってまいりました。というのも私は高校の選択科目に地学がなかったので、知識が中学生レベルで止まったままなのです。(笑)
鎌田 日本では高校地学の履修率は約5%と、とても低い状態が続いています。これだけ地震や火山噴火といった自然災害が多い国に住みながら、20人に1人しか地学を学んでいない。
岸本 最近増えている気象災害や地震について気になっている人が大勢いたのでしょう。先生が今年上梓された『大人のための地学の教室』は、すでに4万部のヒットだとか。
鎌田 しかも買ってくださった方の45%が女性だそうです。
岸本 本にあった「地球は早く冷えたい」というフレーズが興味深いです。地学の基本が学べると同時に、地震や火山噴火といった自然災害が「他人事じゃない」ということがひしひしと伝わってきました。