スキンシップは動物にとっても飼い主にとっても大切なコミュニケーションだ
ペットを飼うとさまざまなハプニングも起こります。体調を崩すこともあれば、災害が起きて通常の飼育環境が損なわれてしまうことも。ペットと暮らすうえでは飼育のしかたも命を大切にするという意識を持つこと、また、近年の災害の多さを踏まえれば緊急時の知識も必要です。そこで、飼い主が知っておきたいさまざまな心構えについて、全3回でお伝えします。教えてくれるのは、2016年の熊本地震の際、地震発生後に自らの病院を「ペット同伴避難所」として開放した獣医師の徳田竜之介先生です。第2回は、「ペットと介護」についてです。(構成=古川美穂 写真提供:株式会社 竜之介)

【介護】老いてきたら、ケアの仕方も変わります

Q. 介護の準備はいつから?
A. 犬猫ともに7歳を超えるとシニア(高齢期)の仲間入りといわれます。老化が進めば、今までできたことができなくなるのは、動物も同じです。

まず足腰が弱くなり、視力も弱まるので、物につまずくようになる。加えて、膀胱の筋力も低下するので、トイレに間に合わなくなり、粗相するように。耳も遠くなり、鳴き声が大きくなったり、名前を呼んでも反応しなくなったりします。気難しくなるなど、心の変化もあるでしょう。

筋力が衰えるので、散歩が好きだった犬も長時間歩くことを嫌がり、寝ている時間が増える。猫なら毛づくろいをあまりしなくなります。
Q. 老化対策はどんなことをすればいいですか?
A. 動物もシニアになれば必要な栄養素が変わります。食が細くなり、嚙む力も弱くなるので、「シニアフード」を選ぶといいでしょう。メーカー各社で、年齢別にペットフードの種類を分けています。

お漏らし対策としては、トイレシーツを広めに敷き詰めたり、おむつの利用をしたりといったことが考えられます。そのためにも、小さい時から室内トイレのしつけをしておくことが肝心です。

また、足腰が弱ったからといって散歩を控えるとますます筋力が衰えてしまいます。老犬・老猫になっても、適度な運動や遊びは必要。隠したおやつを探させる「宝探しゲーム」は、頭と体を使う脳トレになります。そして時々声をかけ、スキンシップをはかりましょう。刺激が少ないと認知症になりやすくなります。