熊本地震から3週間ほど経った2016年5月頃、震源地となった益城町を視察し、往診とペット物資を届ける徳田先生。テントを張った避難所につながれた犬や、瓦礫のなかでじっとしている猫をみて、被害の大きさを改めて実感したという
ペットを飼うとさまざまなハプニングも起こります。体調を崩すこともあれば、災害が起きて通常の飼育環境が損なわれてしまうことも。ペットと暮らすうえでは飼育のしかたも命を大切にするという意識を持つこと、また、近年の災害の多さを踏まえれば緊急時の知識も必要です。そこで、飼い主が知っておきたいさまざまな心構えについて、全3回でお伝えします。教えてくれるのは、2016年の熊本地震の際、地震発生後に自らの病院を「ペット同伴避難所」として開放した獣医師の徳田竜之介先生です。最終回は、「ペットと災害」についてです。(構成=古川美穂 写真提供:株式会社 竜之介)

【災害】置き去りにせず、一緒に逃げて

Q. どんな備えが必要?
A. 災害の時は人間も動物もパニックになり、思ってもみない行動をとることがあります。いろいろな場面を想定し、ペットにネームタグをつける、動物病院でマイクロチップを装着してもらう、などの迷子対策を忘れずにしておきましょう。

動物用の食料や水の備蓄、リードやトイレ用品、ブランケットなども準備しておき、避難時にキャリーケースにすっと入れるよう練習をしておくなど、日頃の心構えが肝心です。

猫であってもキャリーケースは必需品。避難場所では、猫が過ごすプライベートルームにもなります。
Q. 一緒に避難するには?
A. 「同行避難」という言葉を聞いたことはありますか? 阪神・淡路大震災や東日本大震災などの際、「ペットは避難所に連れていけない」と、置き去りにされた動物がたくさんいたため、環境省や各自治体では、災害時にペットと一緒に逃げる「同行避難」をいまは推奨しています。

ただし、同行避難をしたペットを受け入れるかどうかは、避難所の運営側の判断にゆだねられています。同行して避難所へ行っても、「ペットは屋外でお願いします」と指示されるケースは少なくありません。

それにたとえ受け入れられても、鳴き声や臭いなどで周囲から苦情が出て、肩身が狭くなり避難所を出てしまう方もいるのが実情です。