(イラスト:さかがわ成美)

3つの重大なデメリット

1つ目は、《買いたたき》です。国土交通省の実態調査を見ると、リースバックでの買取価格は、周辺物件の6~7割というケースが多い。通常なら5000万円の家を3000万円くらいで買い取られてしまうのですから、固定資産税や住宅ローンがなくなっても、損失のほうが大きくなります。

2つ目は、賃貸借契約に落とし穴があること。「家賃を払えば住み続けられる」と言われると、一生同じ家賃で住めると思う人が多いでしょう。

けれど先の調査では、半分近くが「定期借家契約」を結ばされていて、2~3年で契約が切れ、更新できなくなっていました。つまり、住み慣れた家を出ていくか、再契約して高い家賃を払うかの二択になるのです。

3つ目は、「クーリングオフ」ができないこと。訪問販売や電話勧誘での契約は、契約の日から8日以内なら無条件で契約を解除できますが、リースバックは対象外。いったん契約すると、解除するのは難しいでしょう。

自分たち亡き後、子どもが家を継がないという人は、業者につけ込まれやすい。親切を装って家に上がり込み、言葉巧みに説明し、契約するまでしつこく粘るのが常套手段です。

そんな時は、まず冷静になって、子どもや親族に相談を。あるいは、消費者ホットライン「188」に電話しましょう。少なくとも、その場で契約をしないこと。場合によっては、取り返しがつかないことになるかもしれません。

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