過去の地球へ想像力をかき立てられる浪漫

私がこの地を最初に訪れたのは、初めて海外旅行をした26歳のときでした。当時抱いた、グランド・キャニオンに降り立ったときの強烈な印象――圧倒的な自然への畏怖。

渓谷沿いを下るにつれ、過去の地球はどんな姿だったのかと、想像力をかき立てられる浪漫――は、今も強く残っています。

一帯は地表からの深さが平均1200メートルにも達し、標高差や地形の影響で気温差が激しい。撮影当日は最低気温マイナス2度、最高気温は27度でした。凍えながら粘った末、朝方の雄大な大地に降り注ぐ朝日を捉えることができたのです。

写真の展望台には柵があるものの、ほかのポイントはほぼ剥き出し。怖いと思う半面、自然とはかくあるべきと感じました。

 

グランド・キャニオン
コロラド川の水は、飲料水や農業用水、水力発電などに利用されている(撮影:富井義夫)

 

世界遺産登録名/グランド・キャニオン国立公園
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