軍国少女を演じて

<のぶは、小学校の教師となり、戦時中は軍国教育に携わる。朝田家の石工・豪が出征したため、戦地への募金活動を始めたことをきっかけに「愛国の鑑」と言われるように。戦後は社会の価値観が逆転。戦争責任を感じて葛藤するという異例のヒロイン像だ> 

 当時は世の中の空気感として、戦争反対を大きく掲げることが難しかった時代だと思います。そんな中、のぶは教師として、軍国主義を信じ、使命として子どもたちに伝えなくてはいけない。

後にのぶもその考えは間違いだったと気づくのですが、撮影の時は私自身も複雑な思いを抱えながら演じました。 

 現代に生きる、今の私の心境とのぶは違いますが、のぶとしても自身の中に葛藤を抱えていたと思うので、教師として子どもたちに軍国主義を説かなければならない時の顔と、一人の姉として苦しむ妹を思いやる時の顔は、まったく異なる表情や心の揺らぎが見えるよう意識しました。