嵩の言葉に救われた
<嵩は漫画家としては代表作に恵まれなかったが、作詞や舞台美術などさまざまな形で世間に認められていく。一方、のぶは、高知出身の議員・薪鉄子の秘書になるが、考え方の違いから議員秘書を辞めることに。紹介された会社で働くも、既婚者で働き続ける女性が少なかった時代、居場所がなくなり、退職することになってしまった。子どもも授からず「何者にもなれなかった」という葛藤を抱えることに>
のぶと嵩の関係のターニングポイントとなったのが、のぶが抱えてきた思いを嵩に吐き出すシーンです。「そのままののぶちゃんで最高だよ」という嵩の言葉にのぶは本当に救われました。そこから、のぶは生きやすくなった。嵩のそばが自分の居場所であり、嵩を支えることに誇りを持てるようになってきたんです。
ハチキンと呼ばれ、走り回っていたのぶが、成長すると徐々に落ち着いてきました。はつらつとした部分がのぶらしさだと思っていたので変化をどうつけるのかは悩んだ部分。幼いころは正義感から嵩をかばって岩男くんを殴ってしまったこともあるのが、いろいろな経験を経て、一歩立ち止まって考えられるようになった。それが大人になってからののぶかなと思っています。
ただ、嵩さんが葛藤を受け止めてくれたことをきっかけに、終盤にかけて昔のようなはつらつとしたのぶも出てきます。悩んだり、心が晴れたり、といった自分の気持ちの変化が表に出やすい子だと考えて演じてきました。