男性の恋愛における嫉妬
文学作品にも男性の嫉妬を描いたものがたくさんある。有名な例にシェイクスピアの『オセロー』がある。主人公オセローは「妻デズデモーナが不貞を働いた」という友人イアーゴの嘘を信じ、激しい嫉妬に駆られ妻を殺害する。
日本文学でいうと、私は夏目漱石の『行人』が好きだ。主人公の一郎は妻の直を愛しているのに、信じることができない。一朗の弟・二郎との浮気を疑い、なんと二郎に「直と一晩よそに泊まってきてくれ」と頼むのだ。繊細で孤独な一朗の苦しみが痛いほど伝わってくる、人間の複雑な感情をつぶさに描いた名作だ。
やはり嫉妬は男性にとっても非常に身近で、理性では抑えきれないほどの強い感情なんじゃないだろうか。
進化心理学的観点では、恋愛における嫉妬は自分の遺伝子を残すための重要な機能として人間に備わっているとされている。
さらに、アメリカの心理学者、デイビッド・M・バスは自身の著書や記事で男性の恋愛における嫉妬についてこう論じている。
DNA鑑定のなかった時代は、男性は配偶者の子どもが自分の子かどうか正確にはわからない。もし配偶者が自分を裏切り、他の男性の子を産んでいるのであれば、その子を育てることは自分の時間やエネルギーを他の男性の遺伝子を残すために捧げることになる。
それを防ぐため男性は、女性の情緒的な浮気に比べ、身体的な浮気に対して、より強い抵抗感や危機感を覚えるそうだ。