「男の嫉妬はみっともない」と夫は言うが…
私の夫が以前勤めていた会社は社長交代目前の時期だったこともあり、役員たちの競争がすごかった。
次期社長がほぼ決まると、その次期社長とNo.2だった役員の関係は、特に悪くなった。次期社長が、No.2の関わるプロジェクトの小さなミスを大ごとにしようと躍起になり他部署の社員や外部の人にまで触れ回ったり、No.2は次期社長が先導する会議になんだかんだと理由をつけて欠席し続けたりしたそうだ。
普段から、やれ家の大きさだの、車だの、人脈のすごさだのと、あらゆるステータスを比較して自慢しあったり、仕事とは全く関係ない私的なことにまで嫉妬して歪み合ったり、さらには社員たちがどっちにつくのかで割れるようなことにもなってしまった。
営業職だった夫は、役員たちの競争に巻き込まれる形で散々な目にあって独立したようなものだ。
「本当にバカバカしい。男の嫉妬はみっともない」らしい。
かくいう夫も、子どもたちが友達の家に遊びに行くたび
「どんな家だった? うちより大きい? お父さんどんな車? 仕事何してるって?」
と尋ねては
「勝ったな」とか「ふうん、まあ、あの会社ならそうか……」とか言っている。
みっともないんじゃなかったのか。
ちなみに収入や才能への嫉妬は、より多くの食料や資源の確保や、集団内の自分の地位を守るための生存本能であるとされている。