中華に築かれた長城は竜のごとし

そんな世界遺産を撮ろうと、開門されるや否や長城に向かいました。まだ太陽は低い位置にあり、あたりには雲海がたなびいています。かつて、ここで見張りをしていた兵と同じく、佇んで周囲を見つめていると……、だんだんと霧が引いて、その全貌が静かに姿を現しました。

遠くの山まで道が続いている様子は、まるで竜がうねっているよう。途方もないスケール感と悠久の歴史が醸し出す重厚感は、唯一無二の迫力だと思います。

撮影を終え、晩酌に楽しんだ《黄酒》という中国酒は、万里の長城よりもずっと古い歴史があるのだそう。誕生は4000年以上前と言われています。

重い機材を担いで、万里の長城を歩いたその夜――。味わい深いお酒の酔いに身をゆだねました。

嘉峪関
最西端にある嘉峪関(かよくかん)。9〜10月頃には、一面に咲くコスモスが見られる(撮影:富井義夫)
世界遺産登録名/万里の長城
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