話を聞いてあげることがとても重要

姉を夫、妹を妻という立場に置き換え、介護を家事だと考えると、とてもわかりやすくなります。

幸せぐせはB。今回のケースは、外でバリバリ働いている夫に、専業主婦の妻が「あなたは稼いでいるかもしれないけれど、家のことを私にまかせっぱなしにしないで! 少しは家事をやってよ」と言っているのと同じです。Aは、その妻に対して「稼いでいるのはオレだ。誰の金で飯が食えていると思っているんだ!」と言い返すようなもの。これでは夫婦仲が悪化するばかりだと、人生経験豊富な読者のみなさんならおわかりでしょう。つまりAは、姉妹仲が悪くなる不幸への道なのです。

ではBのどこが幸せぐせのポイントかというと、「話し合う」という部分。妹が本当に望んでいるのは、グチを聞いてもらうこと。言い換えればうっぷんのガス抜き、グチに耳を傾け共感してほしいのです。「お父さん、本当に頑固で全然言うことを聞いてくれないのよ」と言われたら、「いつもありがとうね。前からそうだったけれど、年を取って余計にひどくなったのかもね」などと、感謝しつつ、共感するのが姉の重要な役割。

それに、妹が心の底から介護の実務を替わってほしいと思っているかは疑問です。夫婦でも「うちの夫は家事をまったくやらない」などとグチる一方で、「実際に夫に手伝われたらそれはそれで面倒くさい」と思う妻は多いのではないでしょうか? お皿の洗い方が雑だとか、しまう場所が違うとか、いちいち気になってケンカになるのが関の山。結局のところ、妻が「自分でやったほうがラク」というオチもありがちです。ご近所や子どもの学校のことで「大変だ」と妻に言われたら、夫は下手にアドバイスせず、「そうか、そうか」とうなずく。「あなたは仕事でいないからわからないでしょ?」と言われたら、「ごめんね」と素直に謝る。それで気が済むこともあるのです。妻でも妹でも、ガス抜きができれば、「もう少し頑張ってみよう」という気持ちにもなれるというもの。夫婦であれ、きょうだいであれ、相手の話を聞いてあげることがとても重要だと心得ておきましょう。

(イラスト◎大野舞)