明るく自信に満ちた同期
一方、矢野さんと同期のHさんは、明るく自信に満ちたタイプで、部署のイベントなどにも率先して参加しています。SNSも頻繁に更新していて、公私ともにキラキラした日常を写真や動画でアップしていました。同期ではあるのですが、矢野さんはHさんに対して少し苦手意識を持っています。知ってか知らずか、ときおりモヤモヤするようなことを言ってくるので、警戒している相手でもあります。
部署の飲み会やイベントは、新人である矢野さんやHさんが幹事を任されることが多く、2人は順番に担当していました。矢野さんは、イベントの幹事は得意ではないものの、少しでも部署のみんなの役に立ちたいという思いがあります。予算内でみんなが喜びそうなお店を探したり、遅れてくる社員のために細やかな配慮を考えたりすることを、彼女なりに楽しんでもいました。
しかし、Hさんは矢野さんが幹事の順番にもかかわらず、「私がやります!」と言って、積極的に幹事を申し出ることが何回かありました。矢野さんが「私の順番だから……」と言いかけても、Hさんは、「こういうのは、やりたい! って思ってる人が企画したほうが面白いから、私に任せてくれていいよ」などと言って、笑顔であるものの強引に幹事を引き受けていたそうです。
矢野さんは幹事業務を苦痛に感じているわけではないのですが、これではまるで自分が幹事役を嫌がっているように周囲のみんなに思われているのではないかと、不安になることもありました。こんな2人の新人の様子を見ていた上司から、「2人は正反対のタイプだね」などと言われたことがありますが、そのときはモヤモヤした気分になり、そのあともしばらく引きずってしまったそうです。
