ダチョウ倶楽部の肥後克広さん
ダチョウ倶楽部の肥後克広さん
今年結成から40年を迎えたダチョウ倶楽部のリーダー・肥後克広さん(62)が初の人生論『頼る力』(小学館新書)を出版した。デビュー以来炎上知らず、浮き沈みの激しい芸能界で長年活躍してきた肥後さん。昭和にブレイクした芸人が令和でも活躍している背景には、芸能界の常識をアップデートしてくれる後輩たちの存在があった。年を取るとなかなか年下の意見を取り入れることは難しくなるもの。今も昔も「頼る力」を使ってしなやかに生きる肥後さんにお話を伺った。(取材・文:婦人公論.jp編集部・油原聡子 撮影:本社・奥西義和)

ルールが変わった芸能界

「頼る力」というタイトルは出版社の方がつけたんです。自分としては「頼る力」があるなんて思っていなかった。50歳になったころかな。世の中でコンプライアンスが言われるようになって「老害と言われないようにしないとな」と思っていたんです。

平成はまだ、スケベおやじ的な言動も「よくないな」という空気がありつつ、まだ「昭和だな」とギャグになっていた。でも令和になって、昭和では正解だったことがアウトになったんです。

「何を言っていいか」の判断はすごく難しい。「ハゲ・デブ・ブス」が絶対にダメなのはわかる。でも、そうじゃないものもあるじゃないですか。

ロケで絵本カフェを訪れた時のこと。カフェの女性オーナーが、ジブリ映画のような、まるで絵本から出てきたような雰囲気でした。だから、「絵本の世界から出てきたような感じですよね」と言ったら、「どこがですか」と返されまして、女性がカチンときたのがわかった。

もう脳内で「ピピピピ!ルッキズム注意!ルッキズム注意!」と警報が鳴って。なんとか「フードもおいしいんですよね」と話をずらしました。