結婚式とは実は「親のため」

意外に思う方がいるかもしれませんが、幸せぐせはA。結婚式は誰のためにあるのかと言うと、実は「親のため」なのです。

子どもがようやく独り立ちし、良き人と巡り合って新たに家庭を持つ。親戚や友人たちに「良かったね」「おめでとう」「立派に育ったね」と言われて、晴れ晴れしい気持ちになる結婚式は、親の仕事が一段落し、ねぎらわれるお祝いのようなもの。親はその一日で、頑張って子育てをしてきたことがむくわれる気がするのです。

子どもが熱を出したら、夜中でもおぶって病院に連れて行き、運動会の日には朝早くからお弁当を作り、場所取りをして写真撮影。子どもは自分一人で大きくなったような口をきくこともあったでしょう。それでも、一生懸命に育ててきたのはほかでもない親。そんな親には「費用は援助するから結婚式をしてほしい」と言う権利があります。悔いが残ると少しでも思うなら、Aを選ぶのが幸せぐせです。

もちろん「ない袖は振れぬ」と言うように、費用がなければ仕方ありません。ですが、子どもの結婚式のためにコツコツとお金を貯めている方もいらっしゃることでしょう。でしたらぜひ「結婚式をしてほしい」と言いましょう。

子どもの立場からすると、「親の気持ちはわかるけれど、そんな見世物みたいなこと、恥ずかしいからしたくない」「結婚式にお金をかけるなんて無駄。それなら新居で使う家電を買う費用にしたい」などと思うのかもしれません。もし私がそんな子どもの親だったら、「あなたは結婚式というたった一日の労働を、親のためにできないのか。私たちがお金を出すと言っているのに、それもケチるのか」と言うでしょう。親の思いに役に立たないことなどありません。その費用を「無駄になる」だなんて、子どもは言ってはいけないのです。

もしかすると息子は式を挙げてもいいと思っているのに、パートナーが乗り気ではない、というケースもあるかもしれません。だとしたら息子が「無駄じゃないんだ。一生に一度のことだし、親の望みを聞いてやってほしい」と、説得すべきです。

(イラスト◎大野舞)