在学中に旗揚げしたばかりの劇団「東京オレンジ」に入り、中退後も劇団の舞台に立っていました。ここからは演劇とアルバイトの毎日。ドーナツ店をはじめいろいろなバイトをしましたが、一番長く続いたのは、時間の融通が利いたテレフォンアポイントメント。バイトをしなくても食べられるようになったのは30歳くらいでした。
転機となったのは、2000年に出演したNHK連続テレビ小説『オードリー』です。テレビの仕事で初めて台詞をたくさんいただいた。大学中退以来、疎遠になっていた両親も観てくれて、「雅人が本当に役者をやっている」と喜んでくれたようです。この頃からバイト生活から抜け出せたし、映像の仕事が増えていきました。
これまで、戦国武将から熱血サラリーマン、ちょっと情けないキャラクターまでいろいろな役をやらせていただいていますが、さまざまな人間を《生きる》のは、楽しい。
役者は3日やったらやめられない、なんて言いますが、本当にその通りだと思います。「台詞がほとんどないなぁ」という時期が長かったものですから、出番があって台詞をいただけるだけでうれしい。
今でも撮影に入るときは、つねに緊張感があります。僕にとってそれは大事なこと。うまくいかなかったらどうしようと思うから緊張するわけで、だとしたらどうしたらいいかをさらに深く考えるようになりますから。どんな作品でも、自分のすべてをかける価値がある、という気持ちで取り組んでいます。