吉行和子さん(撮影:川上尚見/『婦人公論』2012年12月7日号掲載)
女優の吉行和子さんが2025年9月2日に逝去されました。享年90 。たびたびご登場いただいた小誌インタビュー記事からは、役者としての矜持と人生を楽しむ姿が垣間見えます

 

年を取ってよかったのは、
長く生きた分いろいろな人に出会っているので、
人間がより深く
理解できるようになったこと。

そうすると本を読んでも絵を観ても、
映画やお芝居を観ても、前よりもいろいろなことが
感じられるようになり、おもしろみが増すんです。
年齢を重ねるって損ばかりじゃないですね
(2023年3月号)

 

 

生きている間は、
悩み1つ家族に相談したことがなかったのに、
今、私に「こんなことでメゲちゃだめだよ」
と言ってくれるのは、亡き人たち。
人は亡くなってからも
人を支えられるのです。

バラバラな家族でしたが、私、
みんなのことが大好きだった
(2023年3月号)

 

 

以前の私なら、セリフは70%程度頭に入れておけば、
あとは現場でなんとかなる、という自信がありました。
ところが、そうも言っていられなくなってきたので、
今は120%覚えてから現場に入るようにしています。
でないと、現場であわてちゃう。
耳も遠くなってきているので、
相手のセリフもちゃんと覚えていかないと、
相手に失礼なことになる。だから、今の私は、

若い頃と比べると
考えられないほどの
勉強家なんですよ(笑)

(2023年3月号)