新しい作品と出会うたびに、
新しいことを学び、
感じることの繰り返しです。

もう半世紀以上女優をやっていますが、
常にどの役も「初めて」ですから、
いつも初心でいなくてはいけない。
自分はこれだけのキャリアがあるなどという
考えをすべて捨て去ることが、
一番大切なことだと思っています
(2012年12月7日号)

 

私は仕事が好きで、仕事さえしていればご機嫌なの。
なぜかというと、役者はフィクションの世界にいられるから。
ひとたび作品の世界に入ったら、
実生活なんてどうでもいい、私自身もどうでもいい。
別人として人生を生きることができる。
ホントに私、いい職業を
選んだなあと思います

(2023年3月号)

 

大人になってからの友情は「尊敬」の
気持ちが含まれていないとイヤだなって。
尊敬というと、ちょっと大袈裟かもしれないけれど、
「この人を大切にしたい」と
心から思える人じゃないと、

続かない気がする
(2007年10月7日号 冨士眞奈美さんとの対談)

 

吉行和子(よしゆき・かずこ)

●1935年東京生まれ。2歳で小児喘息を患い、病弱な子ども時代を過ごす。女子学院高等学校在学中に劇団民藝水品演劇研究所に入所
●57年、劇団民藝所属。舞台『アンネの日記』で主役デビュー。毎日映画コンクール助演女優賞受賞作の『にあんちゃん』ほか日活映画で活躍
●74年『蜜の味』で紀伊國屋演劇賞個人賞、79年大島渚監督の映画『愛の亡霊』で日本アカデミー賞優秀主演女優賞、2002年松井久子監督『折り梅』で毎日映画コンクール田中絹代賞、03年山田洋次監督『東京家族』で日本アカデミー賞優秀主演女優賞などを受賞。『3年B組金八先生』『ふぞろいの林檎たち』などのテレビドラマにも出演。映画『金子文子 何が私をこうさせたか』が26年2月に公開予定
●エッセイ集『どこまで演れば気がすむの』で日本エッセイスト・クラブ賞受賞。父は詩人、小説家の吉行エイスケ。母はNHK連続テレビ小説『あぐり』のモデルになった美容師のあぐり。兄・淳之介は小説家、妹・理恵は詩人
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