吉行和子さん(左)と冨士眞奈美さん(右)撮影=宮崎貢司
40年近く親交を深めてきた冨士眞奈美さんと吉行和子さん。おふたりは、揃って過去に骨折に悩まされていたのです(構成=山田真理 撮影=宮崎貢司)

<前編よりつづく

母を心配する娘の気持ち

冨士 あぐりさんは90歳を過ぎても、あなたと海外旅行するほど足腰がしゃんとしてお元気だったわね。

吉行 98歳で大腿骨を骨折したときは、さすがにもう寝たきりかと覚悟したのだけど、病院で診てもらったら、骨も心臓も手術に耐えられるくらいしっかりしているとわかって。手術後も猛烈にリハビリを頑張って、また歩けるようになりました。

冨士 すごいわねえ。

吉行 なのに退院して家に戻ったら何でも自分でやろうとするから、転んで骨折、布団を換えようとしてまた骨折、の繰り返し。家のなかに私がいるのだから、「何で声をかけてくれないの」って、ずいぶん怒ったものよ。

冨士 あぐりさんも、和子っぺが様子を見に行くと「生きているかどうか、確かめにきたんでしょ」なんて言ってらしたわね。(笑)

吉行 ほんと憎たらしい人だった。

冨士 母と娘って、遠慮がないぶん冷たい対応になるのかもね。リズなんて、冷たい態度をとれば私が緊張して生活がルーズにならないだろうって考えてる様子なの。

吉行 退院後、手伝いに来てくれたりはしたでしょう。

冨士 私の家はカビだらけで、アレルギーが出るから嫌だって。

吉行 あなたの家は、昔から物が多いからね。