冨士眞奈美さん(右)と吉行和子さん(左) 撮影=宮崎貢司
40年近く親交を深めてきた冨士眞奈美さんと吉行和子さん。おふたりは、揃って過去に骨折に悩まされていたのです(構成=山田真理 撮影=宮崎貢司)

濡れたシートを気持ちいいくらい滑って

冨士 私は数えきれないくらいあちこち折っているけれど、和子っぺ(吉行さんの愛称)も8年くらい前に大腿骨を骨折したのよね。

吉行 そうそう。娘のリズちゃんと一緒にお見舞いに来てくれて。

冨士 あなた、何て言ったか覚えてる? 「花なんて持ってこないでね。水をやったりお世話しなきゃいけないでしょ」って。ひどいんだから、もう。(笑)

吉行 動けないんだから、面倒くさいのよ。

冨士 あのときは、どうして骨折しちゃったんだっけ。

吉行 マンションの向かいのお宅がリフォーム中だったの。それで共用部の廊下にブルーシートが張られていたんだけど、雨の日ですごく濡れていたのね。それに気づかず歩き出したら、気持ちいいくらい足が滑っちゃった。

冨士 あら、こわい!

吉行 フィギュアスケートの高橋大輔選手みたいだわ、と思うほど長い距離を滑ったの。呑気にそんなふうに思っていたけど、転んで起き上がれなくなって。

冨士 打ったところが痛くて?

吉行 痛さよりも、体がどうにも動かなかった。転んだ拍子にバッグも遠くへ飛んじゃったから、携帯電話で助けを呼ぶこともできないし。それで1時間くらいじっとしていたら、夕刊を届けに来た男性がちょうど通りかかったから、「すみません、あそこの部屋まで連れて行ってください」ってお願いして、ずるずる引っ張ってもらって。ようやく連絡できたマネージャーに救急車を呼んでもらったというわけ。