突然の夫登場
もう10年ほど前になるが学生時代からの女性の友人同士、4人で集合する予定を企画した。そのうちの1人が離婚を経て、終の住処を手に入れた新居で引越し祝いをしようとなった。当日、先に集まった私と友人で買い出しに行くと、妙な情報を耳にした。
「ねえ、今日、Nちゃんの旦那さんと子ども2人が来るらしいよ」
「……は? そんなの全然聞いていないんだけど」
「Nちゃん、実家のお父さんとあまりうまくいっていないし、子どもを預けるところもないんじゃない」
「それなら旦那さんと子どもで、どっか遊びに行けばいいんじゃないの」
「そうは言ってももう来ちゃうし」
社会人同士で集まるのは、時間のすり合わせもうまくいかない。LINEのスケジュール調整もなかなか決まらない。やっと気の置けない同士で集まって、あれこれ話そうと思っていたのに、断りもなく友人の新居に夫も子どもも参加とは、いささか腹が立った。ああ、そういえばNちゃんの住まいがある街まで遊びに行ったときも、これまでの他の集まりも当たり前のように夫はいたっけ。それでも今回はよそ様の家が会場であり、数年ぶりの集合だ。女同士だけだと思っていたのは、私の誤解だったのだろうか。
結局、夫と2人の子どもが現れて、会話も本音から空々しいものに変わった。早々に帰るだろうと思いきや、昼間から会の終盤である夕食まで参加。いい中華料理を食べたはずなのに、うまさがどこか置いてけぼりになったみたいだった。
