2月9日四大陸選手権FS「SEIMEI」(撮影:田中宣明)

羽生選手の魅力は、なんといっても感情表現が豊かなところだろう。彼のスケート人生や勝利への強いこだわりからにじみ出る演技中の表情が、不思議と僕の感情と共鳴する。観る者の心をつかんで離さない引力が、そこにあるのだと思う。僕は常に、まだ見ぬ表情を探しながらシャッターを切ってきた。

そんな羽生選手も25歳になった。五輪2連覇を果たし、国民栄誉賞も受賞するような偉大なスケーターになった彼を、今も撮り続けられていることは、カメラマン冥利に尽きる。“ゆづ”のようなアスリートに出会えたことに感謝しつつ、ファインダーを通してこれからもスケーターたちを応援していこう。(撮影・文=田中宣明)

応援してくださった方々、本当にありがとうございました。来シーズンに向け、今の限界の先へと行けるよう、練習していきます──2020年3月、世界選手権中止を受けてコメント発表(写真:2019年10月26日スケートカナダ(ケロウナ)SP演技後の記者会見/撮影:田中宣明)
羽生結弦 (はにゅう・ゆづる)

1994年、宮城県仙台市生まれ。4歳からスケートをはじめ、2008年ジュニア選手権優勝。10年にシニアデビューし、13年グランプリファイナル初優勝。14年ソチオリンピック金メダリスト。18年平昌オリンピック連覇。19−20シーズンは、オータムクラシック、スケートカナダ、NHK杯、四大陸選手権優勝

『婦人公論』2020年5月12日号では、本記事の3点含め、カラー写真9点を掲載しています。ぜひご覧ください

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