藤娘 『藤娘』

新作歌舞伎の可能性

私が「新作歌舞伎」を上演するわけは、今の時代、いわゆる古典的な歌舞伎の様式や手法をとっただけでは、新しい歌舞伎を世に送り出すことが難しくなっている、という思いがあるからです。

かつて1969年に、三島由紀夫さんが書かれた新作歌舞伎『椿説弓張月(ちんせつゆみはりづき)』に出させていただいたことがあります。もしかすると、三島先生が純古典様式の歌舞伎の脚本をお書きになった最後の作家だったのかもしれません。

今回、私が手掛けた『火の鳥』は、歌舞伎的かと問われれば、様式的には定義しにくい作風だと思います。

現代の音楽や映像技術を取り入れ、衣装も細部までこだわりましたが、すべてはお客様にどれだけ喜んでいただけるかどうか、ということに尽きます。ありがたいことに、年末12月には再演させていただきました。

このように新作歌舞伎の可能性は常に求めていきたいですし、そのためには、自分がこれまで学んできたことを生かし、謙虚に取り組むことが大事だと思うのです。常に観てくださる方の心に残るような作品作りをしたい、と思っています。