女帝に突然、促される

イメージ(写真提供:Photo AC)

そしてトイプードルで言うと8歳くらいになった、ほんの最近。たまたま仕事で一緒になった、ひとまわり以上の年上の同業者の女性から『うん』ではなくて『はい』の指摘を受けた。

「あのさ、あいづちは『うん』ではなくて『はい』ね」

「……?」

打ち合わせ中、突然の発言だった。いまの私は『はい』と『うん』をミックスしているのに、『うん』だけが鼻についたのだろうか。なぜこの女性に先輩ぶられて、社会人指導をされなければならないのか。帰り道、打ち合わせの内容が頭からすっ飛んだ。そして失礼ながら「マジか」と笑ってしまった。

おそらく彼女は私の年齢をわかっていないだろうし、今回が初対面だと思っているはず。ただ私は彼女と10年以上前に、とあるパーティーで会っている。共通の知り合いである大手出版社の編集者から紹介されて、名刺を出した。彼女は名刺を一瞥すると「ふん」と、名刺を床に落とした。私は慌てて自分の名刺を拾った。悔しかった。彼女が権威主義であるのは業界でもよく聞かれていた。私はそれが悪いとは思わないし、各々のスタイルでうまくやればいい。でもその態度を初対面の人間にあらわにするとは……まだ小娘ギリギリだった私は、奥歯をグッと噛み締めた。

そして再会した彼女は相変わらずだった。良かったのは30代の歯ぎしりメモリーに決着をつけられたこと。人はそんなに簡単には変わらない。さらに20代に受けた“『うん』ではなくて『はい』指摘”と違うのは、自分は間違っていないと事態をするりと流せたことだ。

結局のところ、返事は『うん』なのか『はい』なのか。

現在の私に出た結論は、どちらも正解。どちらかだけではおかしいし、また『うん』『はい』だけでも物足りない。私の仕事で例えるのなら、インタビューをする際と受ける際、ともに『うん』『はい』だけでは違和感。ラジオなら、時間が進みにくくなる。「そうですね」「なるほど」「分かります」「いいえ」「はい」「うん」など、TPOに合わせた失礼のない“ないまぜ”がベストだと、解釈している。加えておくのなら、私は他人へあいづちについて助言はしない。もしするシーンがあるとしたら、甥っ子や姪っ子の身内だけだろう。自分がされて嫌なことは他人にしないし、面倒なことは言わず、関わらないでとっとと逃げる。

はい、これ授業に出ますのでメモっておいてください。メモはスマホやタブレットではなく、手書きでお願いします。

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