峠の釜めしのアタマ(具材のみ)。有楽町の「荻野屋 弦」で楽しめる

「駅」に依存しない柔軟性

2025年には、大阪・関西万博ではまねき食品(姫路)や崎陽軒(横浜)などライバル他社とタッグを組んで「共創」を推進。また、東京都内へも進出するなど「攻めの継承」をして続けています。

「鬼滅の刃」や「エヴァンゲリオン」「頭文字D」など、アニメ作品とのIPコラボも多い峠の釜めし。釜容器の色も変更し、若年層へのアプローチも図り、現代のライフスタイルへの適応にも成功しました。

駅のホームで峠の釜めしを販売する様子

 

かつて信越本線・横川駅では、急勾配(碓氷峠)を越えるための機関車連結時に生まれる数分間の停車時間がありました。その時間を利用し、4代目社長・高見澤みねじの「お客様に温かい弁当を届けたい」という強い想いから誕生したのが「峠の釜めし」です。

しかし、1997年に長野新幹線が開通。横川〜軽井沢間の運行が廃止により、横川駅は特急も止まらない終着駅となってしまいます。この危機に対し、荻野屋はいち早く国道沿いのドライブインや高速道路SAへ展開することで、モータリゼーションの波に乗りました。「駅」に依存しない柔軟性こそが、同社の生存戦略の核となったのです。

1967年には405あった駅弁業者は、81まで激減しています。荻野屋は「守るべき伝統文化」としてだけでなく、「脱・駅弁」としてビジネスとして自立することで、文化をさせる道を歩んでいます。
 

 

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