アクセルとブレーキを同時に踏むようなもの

VDTの光には、ブルーライトの問題も。太陽光にも含まれる青い光(ブルーライト)は、朝になると目覚めて夜になると眠くなるよう、体内時計を整える役目があります。本来は太陽が出ているときしか浴びないブルーライトを一日中スマホから浴び続けることで、夜になっても脳が「まだ日が暮れていない」と誤解して眠りが浅くなったり、脳が十分に休まらない。それが不眠やイライラの原因に。

そもそも昼行性の生き物である人間は、明るい場所で遠くの物を見るときは、獲物を探すために交感神経を働かせて興奮状態にあります。逆に暗い場所で手元を見るのは、洞窟など安全なすみかにいるときだったので、副交感神経が働いて落ち着いています。

そのため、スマホという「明るいもの」を夜に「手元」で見るという状態は自律神経からみると非常に矛盾している。アクセルとブレーキを同時に踏んでいるようなものなので、自律神経のバランスが崩れ、これも睡眠障害や不安感、抑うつ、食欲不振といった症状につながると考えられるのです。

 

1日4時間を超えると健康リスクが……

それでは、「VDT症候群」を予防するにはどうしたらいいのでしょうか。まずは、使い方。スマホやパソコンを購入当時の設定のままで使うと、多くの場合は画面が明るすぎます。また中高年の場合は画面や文字が小さすぎるケースも。設定画面で「輝度を下げる」「文字や画面を大きくする」と変更することで、ずいぶんと目の疲労を軽減することができます。

もう一つが時間です。厚生労働省の基準では、VDTに向かう時間が「1日4時間を超えると健康リスクが高まる」とされています。そこで重要なのが、インターバルを設けること。60分スマホを使ったら、必ず1回は休憩を。手元から目を離す時間を10分以上取る。また休憩中は、意識的にまばたきを増やすことも大切です。ブルーライトの影響を少なくするためにも、寝る2時間前にはスマホを使うのはやめましょう。