雑用は自分の仕事じゃないと拒否する
前項でみたような、クリエイティブな仕事をやりたいと言って与えられた仕事を拒否するケースとは別に、とくに仕事へのこだわりがあるわけではないが、雑用を拒む従業員に手を焼く管理職もいる。
コピー用紙の補充をしない
ある管理職は、そのような従業員について、つぎのようにこぼす。
「これまでは気づいた人間が率先してやっていたことを、
『そんな雑用は私の仕事じゃありません』
と言って拒否するんです。
たとえば、コピー機の用紙やインクが自分が使った際に切れても、補充せずに放っておく。他の人は、そのような場合は、つぎに使う人のために補充しておくんですけど、けっしてそれをしないので注意すると、
『そんな雑用は私の仕事じゃありません』
って言うんです。『じゃあ、それはいったいだれの仕事なんだ? 管理職の仕事だと言うのか?』って言いたい気持ちを抑えたものの、言うべき言葉が見つからないまま、気まずい感じになってしまいました。
それ以来、部署の他のメンバーの不満が募り、何だかやりにくくなってしまっています」
そのような作業は、とくに担当業務として指示されるようなものではないだろうし、だから雑用と呼ばれるわけだが、だれかがやらないとみんな困るのも事実だ。
別の管理職も、同じような人物に困っていると嘆く。
「たとえば、待合室の客用の飲料水が残り少なくなっているのに気づくと、だれもが新しい水に替えるのに、それをまったくしない人がいるんです。そこで、気づいたら取り替えるように促すと、
『そんな雑用のために雇われたんじゃないはずです。接客が私の業務じゃないんですか』
と言って拒否するんです。飲料水の取り替え業務のために雇われた人なんていませんよ。どう対処したらいいのかわからず、困っています」
その管理職が困惑するのも、もっともなことである。
現状、だれもが気づいたときにやっているとしても、そんな雑用は自分の仕事ではないと拒否する人物を容認していては、他の人たちの不満が募るだけだ。
「そんなわがままが許されるなら、自分だってやりたくない」
「あいつがやらなくていいのに、なんで自分たちがやらなきゃいけないんだ」
と思うのも当然だ。
不公平感が募るような状況をそのまま放置していたら、部署としてのまとまりが悪くなり、みんなのモチベーションも低下してしまう。「雑用のために雇われている人などいない」「気づいたときにだれもが率先してやっている」「気づいてもやらない人が一人でもいたら、不公平になり、部署全体のモチベーションに悪影響がある」など、この項で解説した内容を改めて説明し、今後の行動改善を求めるなど、毅然とした対応が必要だろう。
※本稿は、『すぐに「できません」と言う人たち』(PHP研究所)の一部を再編集したものです。
『すぐに「できません」と言う人たち』(著:榎本博明/PHP研究所)
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