新曲「千年の懸想文(けそうぶみ)」

「渚の女」は、山口洋子さんの作品です。1989の作品ですが、今年は山口洋子さんの十三回忌にあたる年なので、追悼の意味をこめて選びました。実はこの曲は山口洋子さんの詞に僕が曲をつけた初めての楽曲なんです。僕が29歳のときのことなので、もう48年ぐらい前の歌になります。アレンジはそのままでオーケストラとボーカルを新たに録音しました。

そして新曲となるのが「千年の懸想文(けそうぶみ)」です。作詞家の田久保真見さんから、僕のところに「この曲を歌ってほしい」という依頼があったんです。どういう思いで書いた詞なのかを尋ねたところ、「東日本大震災や能登の震災などを目の当たりにして作詞家としてできることはなんだろうと考えたときに『百年でも千年でもあなたのことを忘れません』ということを思っていたいという気持ちが沸いてきてこの詞になった」とのことでした。

「懸想文」っていう言葉、聞いたことがない方のほうが多いんじゃないでしょうか? 「懸想」って古語で、「異性を思い慕う」という意味なので「懸想文」というのは要するに「恋文」のことなのですが、なかなかインパクトのあるタイトルでしょう。学のある人ならわかるかもしれないけれど、一般的に知られている言葉ではないですよね。

田久保さんの思いを受け取って曲作りに入ったのですが、この詞の思い、百年先、千年先まであなたのことを思っていますっていうことをどうやって伝えようかなと思っているうちに、どこがAメロでどこがBメロとか全然気にせず、もう頭からずっとサビみたいな作り方になっていきました。この詞の内容をとにかく伝えたいと思ったら、いつもとはまったく違う作り方にせざるを得なかったんです。

この曲に関しては、聴いてくれた人がどう判断するかに託そうという思いがあります。イントロに女性の声を入れるというのも僕が考えました。詞を伝えたいという思いで作ったことが伝わればうれしいですね。

三曲並ぶとそれなりにひとつのCDとしてはなんかいい感じになってるんじゃないかなと思います。演歌は、女心を男性の作詞家が作詞するほうが色っぽかったりするんですが、今回は偶然、すべて作詞が女性なんです。しかもタイプが違う3人なので面白いラインナップですね。編曲もそれぞれ違う方が担当しています。