見積もりが胡散臭い

しかし、母親はあくまで自力で何とかしようと考え、ポストに投げ込まれた便利屋のチラシを目にして電話したらしい。その見積もりを、妹が発見したのだ。アリサさんに対し、母親は「私の責任だから。全部払うから」と口ごもるだけだった。

 

 

マンションの管理組合に聞くと、不用品回収の相場は一戸あたり80万円~100万円程度。母親が便利屋に電話でそう告げると「じゃあモノが多いから120万円で」と即答がきた。しかし見積もりに清掃代が含まれているなど、どうも胡散臭い。

母親は自分がしたことを頭ごなしに取り消されるのが面白くないのか、「安くしてくれるっていうから、そこで頼もう」と譲らない。なんとか母親を説得し、回収予定の前日にアリサさんが業者に電話を入れて断った。

業者に「出る所に出てもいい」と凄まれたため、アリサさんは市の法律相談に出向くなどして準備したが、結局その後はナシのつぶてだった。

「母は、私たちがモノを捨てるのも、無力な老人扱いされるのも我慢ならなかった。それで、カタログで注文するように便利屋さんに飛びついたのだと思います。母が『自分ひとりでは無理』と自覚するまでに、ホントに労力を費やしましたね」