《回答》
家族でも〈他人〉の気持ちで接する。仕事の目線を取り入れるのもよいでしょう

イライラが募れば募るほど、目に入るものすべてが気に食わなくなりますよね。でも悲しいことに、人は怒りに対して慣れてしまうもの。怒りをエスカレートさせれば相手も言うことを聞いてくれるけど、すぐまたその状態に慣れてしまいます。

この怒りの連鎖を、いったん断ち切らないといけません。道徳的な意味で諭しているのではなく、あなたの体にも心にも大きな負担がかかって、いいことなんてひとつもないからです。今のあなたは、勝ち目がないのにむやみに突撃を繰り返す兵隊。ここはいったん戦いをやめて、戦略を練るのです。

まず、どんな時にどんなことで自分は怒りを感じるのか、「怒ったことリスト」を作ってみましょう。あらかた書き出してから、「これはやっぱり怒るべきだ」「これは目をつぶれるな」と仕分けをする。たとえば、「食事の後片づけをすると約束したのに、テレビを見ている。怒ってOK」とか。

さらに「これは怒り度3」「これは怒り度7」と、怒りのレベルづけもできればなおいい。怒りを感じた瞬間に、「これはどのレベルかな」と考えられるようになったら、しめたものです。強弱をつけて怒ればマンネリにもならないし、かえって効果があります。

「限定的に怒る」のもおすすめです。僕は演出家として役者を叱る場合、たとえば「今日までにセリフを覚えてくるといったのに、君は覚えてこなかった。だらしない」と、𠮟る理由を先に述べます。「君はだらしない」とだけ言うのは単なるレッテル貼りで、ちっとも生産的ではないからです。

子ども相手でも同じです。「なんでこんなこともできないの」とレッテルを貼られると、「どうせ僕はできない」と自己否定の念を持ってしまいがち。だからこそ、悪い行動に対してだけ怒るのです。今すぐには難しいかもしれませんが、1日1回はこの方法で怒る、など、少しずつ慣れていきたいですね。